ブラックロッド、ブラッドジャケット、ブライトライツ・ホーリーランド。
時系列の違うパラレルの三部作。すっごい好きな小説。
人に小説勧めるならまずこれを勧めたいってくらい。でも、絶版…。orz
ガキの頃はこれのよさが分からなかったけど、今読むとヤバイくらい来る。w
オカルトが実際の事象として機能している世界。
オカルトなのにやたら理論的で、世界設定の情報量は膨大。
造詣が深くてついていけないことも多々ある…。;
狂気的でぶっ飛んだ独特の発想、
ひたすらハードで救いがなく、負の方向においしいシチュエーション、
情け容赦なく全てがぶち壊されていく様は爽快感すら感じる。とにかく衝撃的だった。
スレイマンとか、人間味の欠片もなくてかなりやばいって思うんだけど、
殺戮と破壊に遊び心を求める、軽薄で血も涙もなくて何者にも屈しない、こいつの暴走にわくわくしてしまう。
精神拘束(グアス)により心を封じられ、それゆえ人格を持たず、
何事にも動じることなく職務に忠実で狂いがない高位魔術師の警官ブラックロッド。
空虚で人として何も持たない彼は人の心に目覚めた時に、己の価値を失う。
人の世界に仇をなす悪魔と共生できる魂を持つがゆえ、その能力を利用される魔女たち。
オリジナルは傷つくことがよう結界の中で無期限の眠りにつき、そのコピーたちが活動する。
神が自分たちを救ってくれることを願いながら、
彼女たちは死後はその魂を悪魔に地獄に引きずり込まれる運命にある。
愛する相手を守り、人として生きたいと渇望するも、
吸血鬼の性により、相手の命を奪うことでしか自分の愛を表現できないロング・ファング。
悲しい結末が待つがゆえに彼が女と結ばれることはない。相手を愛するほどに。
一人の女の命に固執して全てを投げ出したがゆえに、
今まで築き上げてきた誉ある英雄としての自分を失ったアレックス・ナム。
そこにあるのは人々の尊敬を集める大きな男ではなく、愛に崩れ去る小さく弱い男でしかなかった。
あなたの道を妨げるような愛ならば、ない方がいい。女は危機の中で、彼に微笑み自ら死を選ぶ。
そんな彼らの思い、行動の全てが、計画の掌の上。
人格を持つ人間までもが道具となり、その性質を利用され、
いい様に使い捨てられていく、退廃的な高度文明世界。
終いには人の手で自ら神を作り出すと言う、禁忌的な狂気のプロジェクトが動き出す。
全てはそれに飲み込まれ、虚無へと回帰していく…。
一つの王家に支配され、その暴政に苦しむ未来の日本。
人々は救世主を求めていた…。
そこに生まれた双子の少年と少女、タタラと更紗。
タタラは預言者に国を救う運命の子供だと予言される。
タタラは訓練を受けて育ち、人々の心は彼の元に集まろうとしていた。
対照的に妹の更紗は注目されることなく日陰に育ったが…。
しかし、人々に恐れられる王家の子息「赤の王」はタタラを邪魔に思い、
謀反の疑いをかけ、軍でタタラの村を襲い、彼を処刑する。
しかし、「私が死んだらおまえが皆を守りなさい」
生前にそう言ったタタラの言葉を心に刻んだ妹の更紗は
兄の身代わりになってタタラを名乗り、打倒赤の王を掲げ立ち上がる!
そんな中、更紗はプライベートで少女の姿でいる時に、
朱里と言う青年に出会い、お互いの素性も知らずに恋に落ちて惹かれ合う。
この朱里こそが、あの赤の王その人であるとは知らずに…。
パンチの利いた熱く激しい展開が特徴。
波瀾万丈で血肉沸き踊る、ドラマチックなエンターテイメント。
男装のヒロインが主人公で、少女漫画らしい要素も詰め込んであるけど、
なかなか骨のある内容だと思う。
一筋縄では行かない話を盛り上げながら、逃げずにがっつり組み合って、
なおそれを破綻させずに筋を通して答えを描き切る力がすごいと思った。
よくネタが切れないもんだってくらい、
わらわらとたくさんのキャラクターが登場するけど、
一人一人個性が立っていて魅力的で、それぞれにドラマがある。
彼らの言葉・行動の一つ一つが感動的で深い。
牛の腹に掴まって逃げるだの、リアリティなさすぎな展開もあるけどね。w
仲間が死んだと思ったら生きてました、ってのが
パターン化してマンネリ化して緊張感が保てなくなった点は惜しい。
あと最後の後日談はぐだぐだで蛇足…。
私は朱理が好き。プライド高く冷徹で大胆不敵で、行動力に溢れる。
やると言ったらやる。転んでもただで起きない。
私ってこの手のタイプが盛り上げる物語が好きで、かっこいいと感じてしまううんだよね…。;
迫力があって小気味いいんだよね。人間的な器では揚羽に負けるけど。
おまえのためにならいくらでも犠牲になる、おまえにはそれだけの価値があるんだぜ!
と理想の女である更紗への激しい愛を見せる姿も印象的だけど、
視野が狭くて感情的な千手姫は悪い人ではないけど私は少し困った人だなーと感じたんだけど、
揚羽があなたは決して馬鹿ではないと目をかけてやる姿にも好感を持つ。
四道への思いの影が色濃くあるんだろうけど。
揚羽の器の大きな聖人のような魅力の前には、朱理の戦いに生きる王者のカリスマも形無しかな。w
最近よく中二病なんて言うけど、危険で汚れた悪の世界を受け入れて生きることはかっこいい、
自分たちは他の甘い連中とは違うと主張する人たちがいるけど。
正直そんな気持ちが分かる面もある。でも、それより価値のあることは、
真摯で謙虚で、運命に挫けないことだと思う。
でも、こういう大河ドラマ系の話には朱理みたいなタイプが魅力を発揮すると思う。
男性って多かれ少なかれある種朱理みたいな気持ちを秘めてるように私は思う。
でも、タタラの前に立ちはだかる相手が揚羽だったら、話が盛り上がらない。
更紗が揚羽の方が好き~!と言い出したら、朱理の立場がなくて可哀相だし。w
更紗は胸を打つような深い善良さを掲げるヒロインだけど、同時に戦いに生きる強い女性でもある。
話的には二人はピッタリの相手だと私は思う。
朱理にもタタラに理想を見る、最終的には人を理解するだけの心はあったいうことで。
どうにもこうにも上手く語れないと思って、
とりあえずキャラを語ってみたらすごく長くなってしまった…。;
まあ、たぶん前よりはマシになったでしょ。何度書き直してんだよ。w 。
何しろこれから戦争ですので。」こんな台詞から始まる物語。
戦争と言う大きな悲劇の渦に巻き込まれ、
生き抜くために鬼となる一人の軍人が主人公。
男は、猛獣を飼いならし、それを戦力として投入する
という試みを元に作られた実験部隊を率いる。
使い物になるか分からない、得体が知れない危険なもの、野蛮なイメージで人は彼らを見る。
はっきり言って日陰者だ。それでも彼は臆せず淡々と与えられた任務をこなす。
人は決して綺麗な存在ではない。
生き抜くために必要なのは必ずしも正義ではない。
いかに貪欲で賢いかどうかだ。
そして、それはもちろん残酷なことだった。
侵略者の蹂躙から追いつめられた道なき道の中、
大切なものが踏みにじられていく…。
人としての情を捨て、合理のために不要なものは切り捨てる。
不安、混乱、恐怖、絶望におののきながら、身を削り、
それでも気力と冷静さを失えばお終いと歯を食いしばる。
全ては強国の侵略者から自分の国を守る為…。
果たしてこの泥沼の戦場から生還できるのか?勝利するのは…?
とにかくパンチが利いたショッキングな内容。
主人公のアンチヒーロー的な視点が衝撃的なハードボイルド。
残酷だけど悪であるとも言い切れない
一理あると考えさせられる理論が並んでる。
戦略の駆け引きも熱い。
皆よく状況を見て考えるもんだなあと感心して読んだ。w
人の上に立つ人たちは脳構造が違うってことかねえ。
分かりやすく図解で状況を説明しているので、私でも内容が理解できた。
ラノベが原作の漫画らしいんだけど、作画のレベルがめちゃくちゃ高い。
漫画らしいデフォルメを利かせた絵なんだけど、
物体の造形はしっかりとよく描き込まれてるし、
人物もそれぞれ描き分けが出来ていて、表情や動きの表現も上手い。
特に戦闘シーンの迫力と爽快感が最高。
展開は単純で盛り上がりに欠けるし、
漫画にしても設定の枠を越えてるハッタリなご都合主義が多いし。
エキサイティングで熱い展開を期待するなら「はじめの一歩」あたりかなと思う。
だけど、丈のストイックな情熱と苦渋に満ちた生き様には、ずしんと胸をうたれる…。
その点でこれはやっぱり名作だなと思えるんだよね。
丈と戦うためにウェイトを合わせるため、
骨身を削る思いで必死で減量するライバルで親友である力石。
試合が決まった時、彼の体は本当はボロボロだった。
そして、試合でその体にダメージを受けて、彼は亡き人に。
丈はそれを知りショックで叫んで吐いてぶっ倒れる。
その日から彼の進む道は決まっていた…。
やがて丈は、どこまでも自分を孤独に追い詰め、
貪欲に戦いに生きようとするようになる。
自分はリングから降りる資格はない。燃え尽きるまで戦ってここで死にたい…。
そういう答えを出した。
その先に待っているのは、若者の明るい青春などではなかった。
それでも、最後に彼のそんな思いを、涙しつつも理解を示した唯一の人物は…。
そして、最後に得たのは勝利ではなく、それでも満足のいく死…。
暗い性格が災いして悲惨な人生を送ることになった男の話。
美しく健全で強い、そんな既存の主人公とは真逆の視点が衝撃的。
世間一般の感覚に順応できない、
人の気持ちが理解できない、ものの価値がよく分からない。
そんな自分にひどい劣等感を感じていて、
必死で他人に合わせて本当の自分を隠して
おどけてみせたりして誤魔化してやり過ごそうとする。
自分が信じられず、生きることに対する罪悪感に捕らわれ、
光の中に身を置くことを恐れ、闇の中にいると落ち着いてしまう。
そうやって自らを落としてゆく…。
自分が嫌になっては人から逃げて、立場から逃げて、
その繰り返しで、ますます深みに嵌っていく。
周囲を見れば、あるのは悪びれない欺瞞。
そんな世界にすら自分の居場所はない。
人を巻き込めば相手も不幸になる。信じたものは脆く崩れ去る。
最後に残ったのは、空っぽの廃人となった自分。
全てを失い、それもいつかはどうでもよくなっていくのだ。
自己投影はおこがましいけど、
ちょっとこれマジで私この主人公の性格地で行ってるっぽくて、やべーと思った。w
読んでいて、傷が癒されていくような、沈んでいくような、妙な感覚に捕らわれた。
これじゃ駄目なのかもしれないけど、個人的には分かる話なんだよね…。
世の中にこういう気持ちを分かってくれる人がいるんだって、すごく驚きとカタルシスを感じた。
なんかぐぐったら、小畑健のイラストを表紙にした新装版が出たというのを聞いた。w
合わない方は回れ右がお勧め。
もうルサンチマンにすら縋りたいとは思わない。
自虐で笑いを取れるようになることが今の目標。
口汚い本音全開です。2の話とかも普通にしちゃってるし。w
よい子は真似しないように。
言いたいことを言ってしまってるけど、
私の言葉には何の力もありません。
ここにある文章を勝手に無断転載したりはしないでください。(まずいないとは思いますが。w)
Powered by "Samurai Factory"